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歩みを知る

挑戦のDNA

タムラの歴史は、挑戦の歴史です。その歩みは、昭和初期という時代に世界の一流品を目指した創業者から始まり、そして今も未知の分野に果敢に挑み、オンリーワンの製品を追求する開発者たちへと続いています。タムラに脈々と受け継がれてきた挑戦のDNA、3つのストーリーを紹介します。

Story003

次世代パワー半導体の進化に
欠かせない電子回路

高い信頼性を誇る
ゲートドライバモジュール

ゲートドライバとは、パワー半導体を駆動させる重要な回路のこと。高電圧・大電流を確実に制御するのが絶対条件です。

K.Suzuki

電子部品 電気設計

|2011年入社|

電鉄向けのゲートドライバ
電鉄向けのゲートドライバ

生産科学研究科卒業 専門は電気電子工学
タムラが開発に挑んだゲートドライバの評価に2017年頃から参加。その後も回路設計や評価を手がけ、2025年に開発チーム専任となりシェア拡大を狙う。

2013年

未知の市場に参入。

坂戸事業所にさまざまなモジュールが展示

パワー半導体は、高電圧・大電流を扱える半導体のことです。2013年にSiC(シリコンカーバイド)を使った次世代パワー半導体が登場すると、業界で大きな話題となりました。しかし高速で誤作動なく駆動させるのは難しく、そこにタムラが参入するチャンスがありそうだと、研究機関や大手パワー半導体メーカーと連携してゲートドライバの開発がスタートしました。
私自身は初期の開発には参加していませんが、タムラで手がけたことのない製品のため、社内では「本当にうまくいくのだろうか?」と疑心暗鬼が広がるくらい思い切った挑戦でした。開発のコンセプトは、高品質に加え、パワーモジュールに乗せるだけで駆動できる使いやすい製品をつくること。限られた面積でいかに回路の効率を上げるか、いかに熱を抑えるかなど、構造設計や回路設計に工夫を凝らして開発が進められました。

2017年

ケタ違いの高電圧に挑む。

太陽光発電や風力発電向けの需要が多い

「タムラで開発したゲートドライバで、パワー半導体がちゃんと駆動するか試験をしてほしい」。そう声をかけられたのが2017年頃です。それまで私が担当していた製品とはケタ違いの高電圧・大電流のため、取り扱うにも恐怖心が先に立ち、そもそもどういう装置を使ってどう評価すればいいのかも分かりません。
従来の装置では駆動時の波形を確認できないため、新たに光絶縁プローブを導入するなどして、誤作動がないか、保護機能は働いているか、放熱はできているかなどを確認しました。不具合を発見し、ゲートドライバに原因が見当たらないときは、パワー半導体側に原因がないかメーカーに問い合わせ、品質を向上させた結果量産化に至り、製品のラインナップも増えています。
そして、再生可能エネルギー市場向けに広がりを見せ、特に太陽光発電向けの売上が伸びていきました。

2022年

トップメーカーへの道。

2022年には電車向けのゲートドライバ開発に乗り出すことになりました。求められる信頼性や安全規格が段違いで、大きな磁場や電場に晒されるため非常に高い耐ノイズ性や絶縁耐性が求められ、構造設計を工夫する必要がありました。また放熱設計も重要で、回路効率とヒートシンク(放熱部品)の両方で対応しました。製品の試験についても高電圧・大電流を扱うため、安全性を高めた独自の評価システムを構築しました。その結果、目標としていた品質を達成し、量産が開始されました。
現在、ゲートドライバ市場でタムラの知名度は上がり、特に太陽光発電向けでは供給が追いつかないほどです。今後は、5年10年先を見据えた技術開発を進めるとともに、製品のラインナップを増やしてシェアを拡大し、業界トップメーカーを目指します。

〜私の想い〜

開発者にとって大切なのは、「なぜ」を放置せずに突きつめることです。なぜこの結果になったのか、なぜこの回路方式を採用したのか、なぜこの構造になっているのかなど、「なぜ」を追求するのは時間がかかりますが、それにより新たな知見が得られ、技術者・開発者として成長できます。私自身、ゲートドライバの開発は「なぜ」の連続でしたが、新しい分野の回路を手がけ、知識が広がったと実感しています。タムラでは、いろいろな部署や他の分野と融合して研究開発を進める流れがあります。開発をしたい人にとって、面白い仕事ができる環境と言えるでしょう。