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歩みを知る

挑戦のDNA

タムラの歴史は、挑戦の歴史です。その歩みは、昭和初期という時代に世界の一流品を目指した創業者から始まり、そして今も未知の分野に果敢に挑み、オンリーワンの製品を追求する開発者たちへと続いています。タムラに脈々と受け継がれてきた挑戦のDNA、3つのストーリーを紹介します。

Story002

電子機器の小型・高性能化を
支える次世代材料

フレキシブル基板向け
ソルダーレジスト

柔らかい基板の表面に塗って回路を保護するソルダーレジスト。高度な技術を要する多色展開も。

T.Saito

電子化学材料 開発

|2003年入社|

T.Saito
ソルダーレジストを塗工したフレキシブル基板
ソルダーレジストを塗工した
フレキシブル基板

理工学研究科修了 専門は有機合成
フレキシブル基板向けソルダーレジスト開発に、プロジェクト立ち上げ時から参画。現在も若手社員を引っ張って開発の先頭に立ち続ける。

2008年

実績ゼロからのスタート。

つや消しの黒色を実現したソルダーレジスト
つや消しの黒色を実現した
ソルダーレジスト

入社して5年目の2008年、フレキシブル基板向けのソルダーレジストを開発する新規プロジェクトが立ち上がりました。会社として、まさにゼロからのスタートです。
20〜30種類の材料を組み合わせ、何万通りもの候補の中からお客様の求める特性に合ったものを探り出し、2週間毎に新しい試作品を提出する。そんな試行錯誤の末にようやくお客様の求める柔軟性と難燃性を両立できたところ、今度は「つや消しの黒色」をオーダーされました。黒色は光を通しにくいため、一般的に基板に使われている緑色のソルダーレジストに比べ光を当てても固まりにくくなってしまいます。
そもそもなぜ黒色を求めるのかも分からないまま開発を続け、2009年11月に完成にこぎつけました。後になってつや消しの黒色は基板の配線を見えなくするためであること、実績のあるメーカーが黒色の開発を断念していたことなどを知りました。この成果によって、タムラがフレキシブル基板市場で信頼を勝ち取ることができました。

2013年

進化を止めない。

エポキシ樹脂
ソルダーレジストの多色展開を可能に

タムラが初めて開発したフレキシブル基板向けソルダーレジストは、スマートフォンの基板に採用されました。
その後、スマートフォンが急速に進化し、新しい機種が続々と発表されていくことになり、それに合わせてソルダーレジストにも次世代の特性が要求されました。まず取り組んだのは、解像性の向上です。基板の配線が細かくなるとその配線を保護する役割を持つソルダーレジストにも同様に微細な解像性が求められます。それを黒色のままで光を下まで通すという難題に挑みました。再び試作品をつくっては改善する日々が続き、黒色の色調を少しずつ変えながら、3か月という短期間で目標をクリア。次の課題は、柔軟性のさらなる向上です。
新しい材料を探しながら何百回も試作を重ね、最終的に20回以上繰り返し折り曲げても使用可能なソルダーレジストを開発しました。

2025年

シェア10倍への挑戦。

タムラ製品に対するフレキシブル基板市場での認知度が高まって製造量が増え、フレキシブル基板向けソルダーレジストでトップシェアを誇るまでに急成長を遂げました。
そこでとどまることなく、さらなる市場拡大に向けた挑戦は続いています。そもそもフレキシブル基板向けソルダーレジストは、回路パターンの上にピンポイントで塗られるもので、それ以外の部分は別の屈曲性の高い材料が使用されています。
ソルダーレジストの屈曲性をさらに向上させることで材料の統一化を図り、お客様の工数削減に貢献するとともに新規市場を含め、さらなる市場シェアの拡大を進めていきます。
非常に難しい開発となりますが、材料となる樹脂の設計から自社で行い、数年後の製品化を目指しています。

〜私の想い〜

偶然にも、プロジェクト開始とスマートフォン普及のタイミングが一致したことで、新製品で一気に市場を獲得することができました。開発で大切なのは、第一にお客様が求める特性を把握することです。その上で、新しい材料を配合したときにどういう特性が出るかイメージし、それを確認するために実験をする。予想と違う結果が出たときは、新しい発見につながるチャンスと捉えてよく検証する。そうした中で交わされる議論はとても楽しいものです。新しいものをこの世に生み出すのが開発の醍醐味。自分が開発したものが世界中に広がっていく貴重な経験ができて、本当にうれしく思っています。

T.Saito